クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
“……オレは、今はおまえだけだ。だから……おまえをオレにくれないか?”
クリスマスにあった甘い時間、確かに葛城さんにそう伝えられた記憶がある。
彼がその場しのぎの嘘や誤魔化しをしない人柄なのは、一緒に暮らしたこの数ヶ月でよく解ってる。 自他ともに厳しくあるけれど、それは必要だからで。誰よりも誠実なのだと。
だからこそ、また告げられた言葉が信じられない。
“おまえだけだ”――と、言ってくれたことが。
私が信じられなくて何度も目を瞬いていると、腕から解放されて葛城さんと向き合う形になる。彼の瞳は真剣そのもので、眼鏡の奥にある焦げ茶色に何かが揺らめいているように感じて。頬に熱が集まった。
「おれは……いい加減な気持ちでおまえを抱いたりしない」
人気が居ない場所でぽつり、と。けれどはっきりした声で葛城さんはそう告げる。
「あの時……初めておまえを抱いた時から覚悟は決まってたし、責任を取るつもりはあった」
「かくご……?」
私を抱いたのは、単なる酔った末の過ちではなかった? 今までの時間も……。
私たちの関係とは一番縁がない言葉の羅列に、知っているはずの単語がまるで異国語のように響く。それほどまでに、私の中ではすぐに理解しきれなかった。