クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
とてもとても大切な話。
葛城さんが自分の胸の内を明かしてくれていた……のに。
あろうことか、こんな時に限って私の体は正直者だった。
きゅう、と小さく音が聞こえて慌ててお腹を押さえる。
(こ……こんなときに! やだ……恥ずかしい!)
許されるなら、この場から消えたいくらいだ。恥知らずにもほどがある。
すると……
ぷっ、と噴き出したらしい吐息が聞こえた。
気恥ずかしさから真っ赤になっているだろう顔を恐る恐る上げると、よりによって葛城さんが肩を震わせて笑ってる……!
「も、もう……笑わないでください! わ、私だって好きでお腹が空いた訳じゃないですから」
羞恥心のあまりに涙が滲んだ目で睨み付けると、彼は「すまない」と言いながらまだ笑ってますけど。
「クククッ……そうだな、早く買わねばご機嫌斜めになりそうだ」
「こ、子ども扱いしないでくださいよ! 別にお腹が空いたからって不機嫌にはなりません」
また、と私はからかわれそうな気配に懸命に彼を睨み付けるけど……。
ふわり、とすぐ間近にミントが香った。
「……そうだな、確かにおまえは子どもじゃない」
ついさっき感じた温かさを、もう一度唇に感じて。それは長く続く。
「……っ」
軽く触れるだけのキスでも、長く続けばそれだけで何も考えられなくなる。
溶けそうな熱を感じて膝から力が抜けた私を抱きしめた葛城さんは、満足そうに笑ってました。