クールな課長とペットの私～ヒミツの同棲生活～

テイクアウトできるお店でサンドイッチと好きな飲み物を買った後、イートインスペースでそれをいただく。


チキンサンドはなかなか厚みがあって、ひとくちで食べるのは難しい。好きな人の前で大口をあけるなんてしたくない。けれど、手でちぎるとソースで汚れそうで……なんてぐるぐる考えていると、葛城さんはペーパーナプキンを差し出してくれた。


「おれの前で遠慮するな、ほら」


葛城さんはまるでお手本を示すように、サンドイッチにかぶりつくともぐもぐ食べる。


「せっかくだから好きに食べろ。その方が美味い」

「はい」


彼に促されてサンドイッチを両手に持つと、やっぱり大きい。けれど、香ばしい香りに誘われて空腹には勝てなくて。思い切ってぱくん、と口にした。


「……おいしい、です」

「だろ？」


私のひと言に、葛城さんは嬉しそうに笑う。


「加藤から聞いてて、一度これを食べたかったんだ。やっぱり美味いな」

「はい。ほんとにおいしいです」


けど、それを聞いた葛城さんの顔がふと真面目なものになる。


（え……私、なにか変なこと言ったかな？）


やっぱり失敗したのかな……大口開けた顔が変だったのかもとやきもきしてると。意外なことを言われた。


「……おれには……おまえの作るものの方が美味い」

「え」


そうして、躊躇いがちに彼はこう告げた。


「今度は、おまえのカツサンドを持って一緒にこよう」