クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「なら、ちょうどいい場所がある。少し遠いが、着く頃にはいい腹の減り具合になるだろ」
「はい。楽しみです」
いつもコンビニものしか食べなかった葛城さんがお勧めするお店。どんな場所か興味があるし、きっといいお店だと確信に近い予感がした。
国道1号線に入った車はさほど渋滞に巻き込まれることなく、ひたすら東を目指して走る。その間会話はなかったけれど、気まずさはなくて逆に心地いい。
車の揺れと快適な車内に、いつの間にか意識が睡魔にさらわれていった。
「……あ!」
ハッと気がついた瞬間に勢いよく飛び起きて……ごつん、と頭をどこかに打った。
「い……たぁ~~い……」
両手で頭を抱えて唸ってると、プッと噴き出す音が隣から聞こえて。見られた! と頬に熱が集まった。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃありません! お……起こしてくれればいいじゃないですか」
車内のデジタル時計を見てみれば、時間はとうに21時近く。どうやら3時間は寝てしまったらしく、後悔しかない私に葛城さんは事も無げに言う。
「疲れてたんだろ。気持ち良さそうに寝てたからな」
やっぱり……無防備な寝顔を見られた。そのことに軽いショックを受ける。
(やだ……寝言とか言ってないよね……それに。貴重な時間なのに待たせてしまったなんて……申し訳ないよ)
真っ青になっていいのか赤くなっていいのか、わけがわからなくなる。そんな私に葛城さんは気にするな、と告げた。
「でも……私のせいで待たせてしまって……ごめんなさい」
「いい、その分夜に返してもらうからな」
葛城さんはなぜか上機嫌で意味不明なことをおっしゃってました。