クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
もう恥ずかしくて逃げるように車から出ると、駐車場から見えたお店は竹材を主に使ったアジアンテイストな外観。それなのに「Ti Amo」と、横文字な名前が木材に記されてた。
(英語じゃないよね……なんて書いてあるんだろう?)
「どうした? 早く入らないと体が冷えるぞ」
ふわり、と背中に重みを感じて肩越しに振り返れば、彼のコートが体にかけられてて。優しさにじんと胸が熱くなる。
「あ、はい……ありがとうございます」
素直にお礼を言うと、背中を押され歩き出した……のだけど。
入り口らしき木製のドアが開くと、いきなり人が飛び出してきて驚きのあまり後ずさる。
「ようこそ、Ti Amoへ! いや~君が智基の初カノか~感慨深いねえ。さ、遠慮せずに入って、入って!」
ヒゲをちょっと生やした紺色の着流し姿の男性が、意味不明なことをのたまいながらハイテンションで出迎えてくれました。
「ユウキ! いきなりそれはないだろう。夕夏が怖がってる」
「夕夏ちゃんね、名前ばっちり憶えたよ。あ、ちなみに俺は結城 勇気(ゆうき ゆうき)って冗談見たいな名前だけど本名だよ。智基は大学時代のダチでね~俺がこの店を出す時に出資してくれた恩人でもあるんだ」
「勝手に喋るな!ただの腐れ縁だし出資はおまえが泣きついたから仕方なくしただけだ。余計なこと言うなら、貸した500万今すぐ返せ」
「え、ちょ。それ無理だから!」
訊かれてもいないのに一方的にペラペラ喋るユウキさん。そんな彼に憤慨する葛城さんだけど……心底嫌そうな感じじゃない。
彼にもこんな友達がいたんだ、と知れてほっとしたし、こんなふうに親しい人がいたことが嬉しかった。