クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
堪えきれずに、思わず噴き出してしまいました。
「……何が可笑しい」
「いえ……だって……葛城課長があまりにも女性に興味がないから、会社で一時流れた噂を知ってますか?」
私が教えようとしたのに、葛城さんはいかにも不愉快そうに眉を寄せた。
「……いい、言わなくともだいたいの想像はつく。おおよそゲイだとかホモだとか言われてたんだろ」
ふて腐れたようにテーブルに頬杖を着いた彼は、明後日の方向を見てる。気まずくて仕方ないみたいだ。
「いえ……でも、最終的にはみんながまさか、と否定してましたから。噂はあっという間に消えてましたよ」
「それならいいが……いくらおれでも、そのケがある男から迫られたくないからな……おい、おまえ今想像しただろ?」
ぎくっと思わず身体を揺らした後に、「い、いえそんなことありませんよ」と否定しておいたけれど。
「怪しいな。口元が緩んでる上に目元がピクピクしてる。絶対に想像したろ?」
「…………」
まさか、加藤さんと想像したなんて絶対に言えませんよ。しかも葛城さんが受け……いえ、何でもありません。
以前昼休みに読まされた富永先輩の漫画の影響が……。
でも、と私は邪な想像を振り切ると彼をまっすぐに見た。
「大丈夫です。誰もあなたがそうではないときちんと理解してますよ。だって……深い信頼がありますから」
「…………」
「みんな、あなたのことをただの厳しい上司だとしか思ってないことはありません。あなたは慕われてらっしゃいます。だから、噂も否定されてすぐ消えたんです。みんながあなたがのことを好きで、どんな人かを正しく理解しているからです。
だから、そんなに落ち込まないでください」