クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「もちろん、私もあなたを信じてます。誰よりも信頼してます」
私が笑顔でそう言った途端に、はぁ、とため息を着いた葛城さんはなぜか眉間に指を当てた。
(え……まさか不味いことでも言っちゃったの?)
励ますつもりでいたのだけれど、葛城さんがますます傷ついたのかもしれない。そう焦る私に、葛城さんが唸るように告げた。
「……おまえ……わざとか?」
「え……ご、ごめんなさ……」
咄嗟に謝る私に、彼は違うと手で顔を覆った。
「いちいちかわいいことを言うな……おれの理性の限界を試してるのか?」
「え、試して……そんなことはなにも……」
葛城さんの言ってる意味が本気でわからない。首を傾げていると、彼がくそ、と呻いた。
「……料理を食ったらすぐ出るからな」
「あ、はい……明日も早いですからね」
「違わないが……まったく……無自覚は一番質が悪い」
はぁ、とため息を吐いた彼は何かを堪えるように目を瞑る。具合が悪いのか、と心配しても「大丈夫だ」とぶっきらぼうに答えるだけ。
出されたお料理は和風をベースにした綺麗な創作料理だったけれど、ゆっくりと味わう暇もなく葛城さんは手早く平らげていく。
(……参考にしたかったのにな)
心の中でため息を着いた私を連れた葛城さんは、ユウキさんに軽く挨拶をしてお店を出る。お金は……利子の代わりにいつも無料だから、気にするなとのことだった。