クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「あ、ちょっと待ってよ~!」
車に乗り込む前に、ユウキさんが追いかけてきた。
「これ、お土産だから持って帰って!」
ビニール袋に入れたものを差し出すから、思わず受け取ってしまってた。
ずっしりした重みの中身は、お弁当のようなものが二箱と割り箸にお茶まで入ってた。
「あ、ありがとうございます……あの、おいくらですか?」
「いいの、いいの! 前祝いだから、俺からのプレゼント。ほんの気持ちだけど、もらっておいて」
ユウキさんが手招きするから近づくと、なぜか彼は顔を寄せて耳打ちしてきた。
「この店の名前ね、智基が決めたんだ」
「え、そうなんですか?」
「ああ、イタリア語なんだけど……当時悩んでた彼がある願いを込めて付けたのを知ってる。きっと一番欲しかった……というか言いたかった言葉なんだよ」
店ができたのは3年ほど前なんだけどね、とユウキさんは告げた。
「……智基が誰かを連れてくるのはマジで初めてなんだ。だから、その意味をこのTi Amoって名前から考えてみて」
「……何をコソコソ話してる」
葛城さんの低い低い声が聞こえて、「やべ~」とユウキさんは朗らかに笑う。
「なんでもな~い、単なる内緒話だよ」
ひらひら、と手を振ったユウキさんは、またも爆弾を投げてきた。
「俺には実はちゃんと婚約者がいるし。友達がご執心してるカノジョに手出ししたりはしないよ」