クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「この年で……だが、おれは人間としてやり直したい。父や家族……もちろん友達やたくさんの人間と……」
「はい……」
そう思ってくれたことが、私には何よりも嬉しかった。
それだけで……いい。
私の恋が実らなくても、葛城さんのそばにいられなくても。彼が前に進む決意をした……それで彼がしあわせになれるなら。
「よかった……しあわせに、なってください……いいえ、あなたならきっとしあわせになれます」
穏やかな気持ちでそう言うと、なぜか不機嫌な声が後ろから聞こえた。
「おれが、いつおまえを手放すと言った?」
「え?」
「おれは……おまえともやり直したい」
「……私と?」
何を言いたいのかわからなくて肩越しに振り向こうとすれば、彼の眼鏡無しの顔が近くて心臓が跳ねる。
強い決意と意地を感じさせる茶色い瞳が、まっすぐに私を射抜いた。
「……おれたちは……出逢いから間違っていた」
葛城さんの悔恨を滲ませた声が、静かな室内に響く。心底悔いる様子に、私はすぐに否定も肯定もできなかった。