クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~





「でも……あなたばかりが大変なのは。私にもなにかやらせてください」


軽い押し問答の末に私がお重を並べれば――智基さんは微苦笑をする。


「まったく……おまえは昔から頑固だったからな」

「え、私そんなに融通がきかないですか?」

「そうではないが……来たみたいだな」


智基さんが息子を抱き上げて立ち上がると、向かい側の河川敷から橋を渡ってくる一組の夫婦の姿が。


「やっほ~! 夕夏ちゃん。今日はお招きありがと~」


軽いノリの由利先輩のそばには、二歳になる百合花ちゃんの姿が。そして、後ろからは結花さん夫妻の姿……次々と親しい人たちが到着していく。


……そして。


「……今日は招いてくれ、ありがとう」


葛城 勇人さんと弥生さん夫妻が姿を現したのは、予定時間ギリギリで。にこやかな勇人さんとは正反対に、弥生さんは無表情に近かった。


私と智基さんが結婚する時、弥生さんからは猛反対を受けた。結婚の際にはすべてを打ち明けたのだから、彼女からすれば私は不倫相手の娘。罵倒され無視されても、仕方ないと思ってた。


だからか、弥生さんは披露宴がわりのパーティーにも出席しなかったし、この1年まったく口さえ聞いてくださらなくて。今日の花見はきっと勇人さんが無理に連れてきたんだろうな……と想像できた。
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