クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「ば~ぅば~あ」
まだ、生後半年。そんなはずないのだけれど……まるで。「ばあば」と呼んだように聞こえた。
すると……
見開かれた弥生さんの目から……ポロリ、と涙がこぼれ落ちる。
それが切欠だったのか、弥生さんの目から涙が溢れた。
「お、おい。弥生……大丈夫か?」
おろおろと狼狽える勇人さんだけど、弥生さんは「大丈夫です」と空いた手でハンカチを持ち涙を拭う。そして、ほんの微かにだけど……口元に笑みを浮かべた。
「……笑った顔は……智基の小さい頃にそっくりね……確かに……智基の子どもなのね……」
そう呟いた弥生さんは、ギュッと瞼を閉じて夕貴を抱きしめた。まるで……いとおしむような表情で。
そして、夕貴を抱きしめたままこちらへ歩いて来るから、緊張しながら待っていると。弥生さんは初めて正面から私を見つめた。
「……夕夏さん」
「はい……」
緊張のあまりに硬い声で返すと、同じ位に硬い声で彼女が告げた。
「……正直に言えば、わたくしは未だあなたの母親を許せません。あなたたちの為にわたくしたちは不幸になりかけたのは事実ですからね」
「はい……申しわけ、ありませんでした……」
精一杯の謝罪の意味を込めて、頭を下げようとした。けれど……それを止めたのは智基さんではなく、弥生さんだった。
「……この1年……智基からあなたの話をよく聞いてました」