クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「じゃあ、アルバイトを探します。お家賃やいろいろな費用をお支払いすればいいですか?」
「アルバイトなど必要ない」
「で、でも……それじゃあ私はお金を得る手段がないです。仔犬だけでなく私までがお世話になる以上、きちんとお支払いしなくては。それがダメなら私がお世話になる訳にはいきません」
縁も所縁も無いのに、こうして親切にして下さっただけでも十分に優しい。だからこそ、それ以上甘えて迷惑を掛けようなんて気にはなれなくて。大切なことを曖昧にせず、きっちりとしておきたかった。
「必要ない、と言ったはずだ」
だんだんと葛城さんの眉間にシワが寄り、不機嫌さを増したのが冷たい空気から判る。だけど、私は一切引く気がなくて彼の顔を見た。
「いいえ。お世話になるのに何もせず厚かましく居座る位なら、公園で過ごした方が何倍もましです」
絶対に譲れない気持ちをキッパリと告げて、葛城さんの瞳を見据えた。
「私は、大人です。するべき役割はきちんと果たしたい。それだけですから」
自分の想いを懸命に告げただけなのに。なぜか、葛城さんは肩を震わせる。
そして、また彼は声を上げて笑い出した。