クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
それから遅ればせながらも如月のおばあさまや、佐藤さんご夫妻にユウキさん夫妻に後輩さん夫妻や加藤さんまで加わって……かなりの大宴会になった。
4月の穏やかな陽光のもと……今まで交流を持ったほぼ全ての人たちとともに、満開の桜を愛で楽しむ。
隣には、智基さんと息子の夕貴が……そして、お腹には新しい命が宿ってる。
信じられないくらいに、しあわせだった。
3年前のちょうど今の時期。私はまだ独りぼっちで、家族経営の小さな商店で働いてた。そこの家政婦までしてたから、自分の時間もなくて……。
こんなふうにお花見に来たなんて、いつ以来だろう。そう思っていると智基さんがぽつりと呟いた。
「むかし……ここでおまえと千夏さんを見たんだ」
「あ……」
そうだ、と私は思い出す。
お母さんが亡くなる年の4月――確かに私とお母さん二人きりでお花見をしたんだと。
「あの時……おまえや千夏さんと家族になりたいと心底思ってた……だが、今はならなくてよかったと思う」
「智基さん……」
「……長い時間がかかってしまったが……おまえに逢えてよかった」
智基さんは私を両手で抱きしめた。
「夕夏……愛してる。おれと出逢うために、生まれてきてくれてありがとうな」
「……っ」
今までで、一番嬉しくてしあわせな言葉だった。
自分が生まれてきてよかったと……初めて認められた気がしたから。
「私も……愛してます。私と出逢うために……生まれて下さってありがとう……」
そして、私たちはそっと優しいキスをかわす。それを見た人たちにかわかわれ、顔が熱くなるけれど……。
きっと私は、こうして生きていける。
(お母さん……私はしあわせだよ……)
澄み切った青空の下で、お母さんの笑顔が見えたような気がした――。
(終)


