クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~



翌日というか当日のお昼過ぎに目が覚めたら、平日にもかかわらずなぜか葛城さんがダイニングでのんびりとコーヒーを飲んでいた。


起きた私にコンビニで買ったサンドイッチを渡し、仔犬をバスケットに入れた彼は“行ってくる”とだけ言って、車を出して行った。他所様の家で勝手に動く訳にもいかず、ダイニングテーブルの椅子で待ってたら。彼は夕方になって帰ってきた。


“仔犬は衰弱してるから入院した”とのことで心配だったけれど。2~3日入院すれば大丈夫と聴いて、ホッと胸を撫で下ろした。

仔犬の治療費もいつかお返しします、と言ったら妙な顔をされたけれど。今の私では助けたくても無理だから。それに、路頭に迷いかけた私までお世話になって。葛城さんには本当に、感謝してもしきれない。


あれ以来、恩返しのつもりでお家の雑事はなるべく引き受けている。


だけど、葛城さんは食事に関してはなぜか相当に淡白で。あまり関心がない様子。私が作っておいても、よくコンビニで適当に買って部屋で済ませているのは知ってる。ゴミ箱によく空の容器が入ってるから。


それに、自室だけは何があっても入るなと言われた。


(あまり私生活に干渉されたくないのかな……)


ランチバックを持って向かった休憩室は社員食堂と違ってあまり広くなくて、一時の息抜きの為に利用する人が多い。教室ほどの広さにソファや自販機が設置され、ガラスで区切られた喫煙所もあった。


ガラス張りの壁のおかげで日光がよく入り、広く解放感を感じるし二十階からの景色がよく見える。それを眺めるのが好きで、よくここでお弁当を広げてお昼休憩を取ってた。

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