クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
ただの、ペットでもいい。あなたの役に立ちたい。義務感からでなく心底そう考えられるのは、きっとこの人のことを知ってきたから。
厳しい人だけど、心底理不尽なことは言わないしやらせない。冷静だけど公平な判断をする。お堅いけれどぎちぎちに締め付ける訳でなく、きちんと意思を尊重して自由にやらせて下さる。
どうしようもなくなった時はさりげなくフォローしてくれる。
例えば、今回の歓迎会で学歴の話題に困っていた私のように。
私が一生懸命に気持ちを伝えようとしたら、葛城さんはフッと笑って両手を下げる。そして、ひと言こう告げた。
「先に風呂に入ってこい」
「あ、はい……」
彼の身体が目の前から消えて、あっさり解放されたと知り小さく息を吐く。そして、彼がミネラルウォーターを口にする様を眺めていたら、なぜか睨み付けられた。
「風呂に入ったら俺の部屋に来て待ってろ。カギは開けておく」
「あ……はい」
なにか私を必要なことだとは理解して、素直に頷いておく。
「準備はすべてこちらでしておくから、おまえはなにもしなくていい。その代わりに時間を掛けて入ってこい」
準備? やっぱり何か仕事があるのかな? やっとお役に立てるのかも。期待に胸を膨らませながら、着替えを持っていそいそとバスルームへ向かった。