クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~



時間を掛けて入ってこいと言われたから、たっぷりと時間をかけて身体の隅々まで洗った。

いつもは遠慮してカラスの行水レベルで。全身をお湯に浸けるなんて、彼と一緒に入った初日以来だ。


高級感あふれる浴槽はずいぶん広くて、あまり長くない足を伸ばしてもまだ余裕がある。ゆったりとお湯に浸かりつつ、湯面で揺らめく照明の光を眺めため息を着いた。


(何をするんだろう? 慰めろっておっしゃってたから……なにか楽しいことかな?)


もしかするとカードゲームとか、熱中できて楽しい遊戯なのかもしれない。なら、準備が必要なのも納得できる。


(大人にできる遊びは詳しくないけど……頑張ろう! うん!!)


葛城さんには、お母さんのようになって欲しくない。もう、大切なひとをああいう悲しい形で亡くしたくないんだ。


お母さんの時は私は子どもでどうしようもなく無知で無力だった。けど、今はもう大人で多少の人生経験がある。あの悲しみを繰り返さないために、私は精一杯頑張ろう。葛城さんの気の済むまで付き合うんだ! たとえ、どんなに辛いことでも。


固く固く決意した私は、そろそろいいかなと逆上せる寸前でお湯から上がる。念のためドライヤーを借りて髪を乾かし、パジャマがわりのワンピースとガウンを着て彼の部屋へ向かった。


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