クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「嫌だったら、すぐに拒め」
葛城さんは重ねてそう言ってくるけれど、私は黙って首を横に振る。生半可な気持ちで、彼に応えるつもりはないから。
強い決意を解ってもらいたくて、なるべく近づいて彼の顔を見上げる。指先だけでギュッと彼のバスローブを掴めば、その手を掴まれた。そして、なぜか彼は手を持ち上げて指先に口づけた。
「……乱暴はしないつもりだったがな」
低くかすれた声で囁いた彼の吐息がかかった瞬間、なぜかそれが熱く感じて身動ぎする。いつもいつも冷静な瞳に、微かに熱が宿ったのは気のせい? 纏う空気も何もかもが一気に変わった。
私の囚われた指先に、彼のキスが降る。それからゆっくりと指先を食まれて、理解の範疇を越える出来事に頭が真っ白になった。
“食べられる”――
なぜかそう本能的に理解した私は、咄嗟にこう告げた。
「わ……私、美味しくないですよ!」
すると、一瞬空気が和らいで葛城さんがフッと笑う気配を感じた。けれど、彼は冷静そのものの声で言い切った。
「俺は、今からおまえを抱く。覚悟しろ」