クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~


「本当に嫌なら、いつでもイヤと言うんだ」

「は、はい」


再び確認をされたから素直に頷くと、瞼を閉じてと言われて
思わず彼を見れば。優しい瞳とぶつかって心臓がトクンと跳ねた。


何もかも任せると決めたのだから、素直に従うのが一番と判断した私はギュッと目をつぶる。すると、ほどなくしてフワリとミントの香りが近づいて。唇を掠めるように柔らかいものが触れた。


二度、三度。


小鳥が餌をついばむような、軽いキスが繰り返される。その間にも高まる鼓動のせいで、少しだけ胸が苦しくなってきた。

「……ん」


数度目のキスはしっかりとした感触をこちらへ伝えてくる。重ねるごとに深くなるそれは、角度を変えて食べられるようだ、と微かな怖さを感じた。けれど、そんな思いはあっという間に消えてしまう。密着した唇が離れず、呼吸が苦しくて僅かに開いた唇からぬるりと肉厚な何かがなかに侵入してきたのだから。


「……っ」


苦しくて涙が出た私に、一度離れた葛城さんがフッと苦笑いをしたのが気配で判った。


「こういう時は鼻でゆっくり息をすればいい。落ち着いてゆっくりと、だ」

「は……い」


息苦しさから解放されたはいいけれど、涙目のまま葛城さんを見るのが恥ずかしくて、彼の喉元を見る。浮き出した喉仏が私とは違う身体の造りだと伝えられたようで。ますます恥ずかしくて頬に熱を集めた。


(要領が悪すぎるよね。不慣れすぎて呆れられたらどうしよう……)


弾むようなドキドキと不安なドキドキと。複雑な鼓動に静まれと願いながら、再び彼からの深いキスを受けた。


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