クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
(のど……乾いた)
目が覚めて一番に思ったのはそれ。まだ豆電球レベルの薄明かりの中で身体を起こそうとしたけど、何かが絡みついて起きれない。
それは、葛城さんの腕で。彼はしっかりと私の腰を抱いて身体を密着する形で寝入ってた。
どうして彼が私のベッドに?と寝ぼけた頭で考える。しかも肌に直接彼のぬくもりを感じるし、毛布の感触もダイレクトに伝わってくる。
(裸……?どうして)
見回してみれば、見覚えはあるけれど自分に割り当てられた部屋じゃない。それに……身体がやたらにダルくて、重いしあちこち軋みそうな筋肉痛。何よりもお腹が痛い……とそこを押さえながら考えて、今の状態がようやくおかしいことに気付いた。
なぜ、私は裸で葛城さんの部屋にいるの?しかも隣に彼が……とチラッとそちらを見れば。彼の顔を見た瞬間、昨夜の行為が急に思い浮かんできて、思わず悲鳴を上げそうになり。慌てて両手で口を塞いだ。
(そうだ……私は昨夜……葛城さんと……)
ゆっくりと顔に熱が集まり、鼓動が速くなっていく。
彼の硬い腕に抱えられているだけで、ドキドキと恥ずかしくて。それでも何だか安心できるような。何だか矛盾しておかしな気分になる。
確かに、最初は戸惑った。流されそうで怖かったし、自分が自分で無くなりそうで。
でも、たぶんだけど葛城さんは優しかった。痛いのは確かだったけれど、初めての私を気遣い最大限の配慮をしてくれたんだと思う。浴びるようにビールを飲んだのに、苦手なアルコールの気配を消してくれて。
部下に手は出さないと言ってたのに、なぜ私を?とも微かにも思う。けれど、きっとそのことにも配慮できないほど彼は辛かったんだ。
そんな葛城さんがしっかり眠っていることにほっとして、自分も少しは役に立ったんだという喜びが胸にわき上り、両手で顔を覆った。