クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~



「ん、まぁ風邪のひどいの……要するに気管支炎じゃな」


そう言ったおじいちゃん先生は疲労も溜まってるようじゃの、とどっさり薬と栄養剤を出してくれた。


家で横になり休むが一番の養生じゃよ、と教えてくれたから。帰宅してから親切なタクシーの運転手さんの手を借りて何とか彼をベッドに横にできた。後は、必要な氷枕を作って……と思ったけれど。そういえば、そういった看護用品のある場所を知らない。


仕方ないからビニール袋で緊急の氷のうを作り、彼の額に乗せて流れる汗をタオルで拭う。


水分も摂らせる必要がある、と点滴をしてもらえたけれど。一晩中摂らないのは良くない。加湿器を引っ張り出して、保湿に気をつける。暖房を寒くない程度に入れて、苦労しながら彼のシャツと下着を脱がせて、お湯で濡らしたタオルで身体を拭いた後に、肌着と新しいシャツを着せる。


流石に下までは……勇気が無くて無理。それは恋人や妻の役割だから……。


肩まで布団を掛けてポンポンと叩いてあげれば、少し落ち着いたのか苦しげな顔がちょっとだけ和らいだ。


絶えず流れる汗を拭いながら、彼のそばでじっと様子を見守る。時折工夫して水分補給をさせて、一晩中彼の様子を看てたけれど。


彼が、たまに苦しげに呻いていたのは悪夢でも見てたのかもしれない。


“ごめんなさい”――と。謝っていたのは誰に、だろう?


すがるように伸ばされた手を思わず取って握りしめれば、彼は安心したように穏やかな寝顔に変わる。


もう、呼吸も安定して呻くことも無かった。


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