クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~


結局、様子が気になってほぼ徹夜になった。


明け方にうとうとしたけど、目が覚めてすぐに温くなった氷のうを作り取り替えた。


葛城さんはすっかり熟睡しているようで、規則正しい呼吸する音が聞こえる。


この様子だとまだまだ起きる気配はない。これ幸いと今のうちに用事を済ませることにした。

(洗濯をしてからお粥でも作っておこうかな。あ、材料も買わないと)


それから、彼の看病に必要なものを揃えようと許される範囲で探したのに、体温計や氷枕どころか薬箱すら見つからない。かろうじて絆創膏や痒み止めがある程度。


自分の身体なのに常備薬も無いなんて……あまりに無頓着過ぎる。


三辺さんが話してた“大学時代から孤高の一匹狼で自分自身に関心が薄い人だった”という言葉が実感を伴って、私の中に染み込んでいく。


“周りが気をつけないと丸1日食べないってこともザラだから”


「そんなこと……させませんから」


私はギュッと手のひらを握りしめながら、決意するように一人で呟いた。


少なくとも、病気の間は私が食べさせる。食事と睡眠と休養はどんな病気の治癒にも必要なものだから。


(えっと……スーパーとドラッグストアのついでに本屋にも寄って、病気の人の身体に優しいレシピを捜そうっと)


あまりに看病の経験は無いから、役に立つ情報があればそれも。どれもお金が無いから立ち読みになるけど……。


「チョコ、葛城さんをしっかり見ててね」

「ワン!」


まだ仔犬だけどすっかり家族の一員になったチョコは、お利口なことにしっかりと返事をして葛城さんのベッドの脇で踞る。ちゃんと番犬としての役割を自覚した彼女に任せて、私は買い物のために自転車で外へ出た。


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