クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「よいしょっ……と、ふぅ。あと少し」
スポーツドリンクやお米など一通りいろいろな物を買ってきたのだけど、やっぱり自転車でたくさんの荷物を運ぶのは大変。
途中で坂を登る必要もあるから、ハンドルを押しながら歩いてようやくたどり着く。その時ちょうど庭にいらした佐藤さんご夫婦と顔を合わせた。
「ええと……これで良いかな」
目の前にお粥を入れた鍋がある……のはいいけど。葛城さんの好みがわからなくて、卵粥と普通のお粥に鮭粥と3つも作った。
後は薬味にネギや鰹節に塩昆布や梅干しも用意してある。
水分が足りないだろうからスポーツドリンクと、水差しにはミネラルウォーター。固形物が食べられないなら、とリンゴをすりおろして。ゼリーやプリンも……と欲張った結果、トレイに載りきらずに何度か往復する羽目に陥ってしまいました。
だけど、ちっとも面倒とか思わない。
彼のためなら、土日ぜんぶの時間を使っても構わない。これくらい恩返しにもならないけれど。
葛城さんはまだ熟睡してはいても、熱が高いせいか呼吸が荒くて汗がすごい。濡れタオルで拭ってから冷却シートを額に貼り、枕がわりにアイス枕を下に敷いて頭を乗せる。
時計を見ればとうにお昼を過ぎているけれど、高熱と疲れのせいか深く深く寝入っているみたいだった。
「…………」
彼の、こんな無防備な寝顔を見るのは二度目。もう、二度と無いと思ってた。
歓迎会の夜、私と葛城さんが初めて身体を繋げて2週間が経っていた。
だけど。あれ以来、彼は私には指一本触れることもなくて。以前と何一つ変わらない態度に、あれは私の夢だったんじゃないかとまで思えてしまう。