クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~



あの日以来私はバカみたいに彼を意識してしまい、動揺し過ぎて仕事でミスを連発、顔は赤くなって熱があるの? なんて同僚に心配される。課長をまともに見れない、とかなり挙動不審気味だった。


隙間なく身体を合わせた相手と、素知らぬ顔で仕事をできるほど私は大人ではないし、何せ経験が圧倒的に不足してる。


葛城課長に書類を渡そうとして、指が触れただけで過剰反応し手を引っ込めたり。説明の為に彼と顔を近づけただけで、頬が熱く心臓がドキドキして息苦しささえあったのに。


葛城さんは、本当に何一つ変わらない。私に触れた指でキーボードを叩き、あの唇で厳しい言葉を紡ぐ。眼差しは凪いだ湖面のように冷静そのもので、あれは彼にとって何の影響ももたらすものではなかったんだ……そう理解するのに、時間はかからなかった。


そうすると、一人で意識して青くなったり赤くなったりしてる自分がバカみたいに滑稽で。それ以来、努めて普通に振る舞おうと努力してきた。


そのはず……だったのに。


ベッドの上で寝息を立てる葛城さんの汗を拭いながら、彼をじっと眺める。長い睫毛に縁取られた切れ長の瞳は今は閉じられていて、苦しげに息を吐く薄い唇はわずかに開いてる。


苦しいん、だろうな。


布団から手が出ていて、お腹の辺りで握りしめられている。時々ギュッと力が込められているから、何かにすがりたいのかもしれない。


私は躊躇いがちに彼のその手を取ると、両手でやんわりと包み込む。


「大丈夫、私がいますから……」


目覚めている時には決して言えない言葉を、彼に向けて囁いた。



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