クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
おい、という声が聞こえて、続けて身体が揺れる。ゆっくりと薄目を開けば目の前に葛城さんの顔があり、息が詰まった私は慌ててその場から飛び退いた。
「す、すみません……!」
ドキドキと高鳴る胸を押さえながら、私はひたすら謝った。看病する側が病人に起こされたなんて。しかも……彼の手を握りしめたまま、ベッドに寄りかかって。
(わ、私……何てことを! 厚かましいにも程があるでしょう!)
「いや……」
葛城さんは特に怒っては居ない様子で、少しだけ安堵した。それより、と私は彼の熱が気になって慌ててベッドのそばに寄る。
「そうだ! 熱は? 気分はいかがですか? 喉が渇いたりお腹が空いたりしてません? どこか痛いとか苦しいとか気持ち悪いとか。少しでもおかしかったらすぐに言ってくださいね」
まずはこれ、と足元の保冷ボックスからミネラルウォーターとスポーツドリンクを取り出した。
「すごい汗をかいてますから、まずは身体を拭いて水分を摂りましょう」
「………」
スポーツドリンクをコップに注いだところで、はっと我に返る。 葛城さんは無言でこちらを見ているけれど、眉間にはシワが寄っていて。明らかに不愉快だと言いたげだった。
「す、すみません! 他人なのに……いろいろと勝手なことをしてしまって……」
やっぱり、私の行動は余計なお世話だった。涙が出そうになるけど、唇を噛んでグッと堪えた。
「キッチンに……お粥……あります……でも……お口に合わないなら無理に食べなくてもいいですから」
目元を強く拭い、立ち去るために立ち上がると背中を何かが滑り落ちる。鈍い音を立てて床に落ちたものは――ブランケットだった。