クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
「お薬は飲みました?」
「飲んだ」
「空きシートを見せてください」
「……勝手に見ろ」
そっぽを向いた彼に忍び笑いをして、錠剤のシートの空いた数を数える。ちゃんと減っていて安堵したけど。ワン! とチョコが吠えてゴミ箱を鼻先でつつく。まさかと思って漁ってみれば、案の定錠剤がティッシュに包まれ丸ッと捨てられてた。
「葛城さん!」
「チッ」
「今、舌打ちしましたね? むくれてもダメです。ちゃんと飲んでください」
こんなやり取りが当たり前になった発病3日目の日曜日。解熱剤のお陰か葛城さんの熱はだいぶ下がり、咳も少しは鎮まってきた。
「まだ熱はありますから、明日は仕事を休んでくださいね」
「…………」
ほら、また黙り込んだ。
葛城さんって自分の分が悪いとすぐに口をつぐむって最近気付いた。
仕事ではいくらでも相手を論破できるのに、プライベートは思ったより子どもっぽい。そのギャップが可笑しくて、そして胸が浸されるようなあたたかさに包まれる。
「今日はお風呂に入りますか? 少しはさっぱりしたいでしょう」
おやつの白桃をもそもそと頬張る葛城さんは、「ああ」とぶっきらぼうに返してきた。
熱が高い時や症状が酷い時は入らない方がいいけど、微熱で保温がしっかりできるなら入浴も悪くない。そう教えてくれたのは佐藤さんご夫婦だった。
慣れない看病も、佐藤さんご夫婦のアドバイスのお陰でいろいろ助かってる。本当に感謝しなきゃ……と物思いに耽ってると、急に身体が傾いて何かと慌てれば。目の前に葛城さんの顔があって驚いた。