クールな課長とペットの私~ヒミツの同棲生活~
(どうして? 傷心の末の過ちはあの一夜きりではなかったの?
)
混乱気味の頭で彼を見上げると、その瞳には明らかな劣情が宿っていて。トクンと心臓が高鳴る。
まさか、本当に?私だから求めてくれているの?そう思うだけで、全身が真綿に包まれたようなしあわせを感じた。
だけど――。
「ペットなら、主人の命令には従うものだろう」
葛城さんの口から冷淡に告げられた言葉で、一気に冷水を浴びさせられた。
“ペットだから”
今まで散々解っていたつもりだった。だけど、自分の立場が彼の口からはっきりと言われたことで、やっぱり私は彼にとって家族にはなれない存在なんだ、との現実を突き付けられてしまった。
悲しくて、でもそれは当たり前なんだと自分に言い聞かせる。私は、彼のペット……家族にも恋人にもなれない、ただそれだけの存在。
だから、たとえこうしてぬくもりを分け与えられても、隙間なく身体を合わせても。そこには何の意味もなく、心も必要ない。
(だって……葛城さんには愛する人がいる……私なんて……彼にとって何の意味もない存在……でも)
彼の指と唇で熱く翻弄された末に、前よりも激しく揺さぶられ続けて。疲れから重くなった瞼を閉じる時にこう思った。
“でも、それでも私は……許される限り彼のそばにいたい”――そうはっきりと自覚してしまった。
自分の、本当の気持ちも。