君にまっすぐ
「そうだ、賢介は今彼女いないよね?」
「うん、いないけど?」
「やっぱりそうだよね。よかった。」
「なに?俺に彼女がいないと嬉しいの?」
賢介がニヤニヤ顔で聞いてくる。
「違う、そうじゃなくて。最近友達になった人がいて、その人とは車好きの趣味も合ってドライブとか楽しんでたんだけど、婚約者がいること黙ってたのよ。私、婚約者がいる人と2人で出かけたりしたりしないのに、気付かないうちに相手の人を傷つけていたかもしれないって落ち込んじゃって。」
「なに、その友達って男なの?」
「そう、ある意味上司でもあるんだけど、友達になりたいって言って、ドライブに行ったり食事したりしてたんだ。」
「それって、友達なの?完全にデートじゃない?」
「違う!ただの友達。その人プレイボーイな人だから。私とはそういう関係にはならないの。気さくに話せる相手ってだけ。」
「プレイボーイねぇ、確かにあかりは気軽に付き合えるタイプじゃないもんな。」
「そうよ。まぁ、その人も最初はそういう関係を狙ってたとは言ってたけど、私じゃ無理ってわかったみたい。」
「狙ってたて。まだ狙われてるんじゃないの?」
「違うと思うよ?全然そんな素振り見せないし。その人仕事では隙を見せない感じだし、女性にもスマートなエスコートが出来る人だけど、私のことはからかって大笑いしてるから、そういう対象じゃないんだと思う。」
そういう対象じゃないという自分の言葉があかりの胸に刺さる。
そんな痛みは気付かないふりだ。
不満気に孝俊のことを語るあかりを賢介は変わらない穏やかな微笑みで見ている。
「あかりはその人のことが気になってるんだね。」
「なっ、違うわよ。だから婚約者がいるって言ってるじゃない。」
「ま、相手がいる人を好きにはならないか。」
「そうよ、私のポリシーに反する!」
「出た!あかりのポリシー。」
おかしそうに含み笑いをする賢介にキッと鋭い視線を向ける。
「なによ、どうせ私は融通の効かない頑固者よ。」
「そこまで言ってないじゃん。あかりはそのままでいいと思うよ。清く正しく正直に生きるあかりを見てるとパワーをもらえるし、自分も正しく生きなきゃって気にさせられる。」
「そうかな…?」
「たぶんその友達もあかりのそのパワーが欲しかったんじゃないかな。」
「…そうかもしれないね。」
肩書とお金にしか人が寄ってこないと嘆いていた孝俊を思い出す。
あかりと話していると素が出てしまうと言っていた。
婚約者のことを黙っていたことはちょっと許せないけど、気の休まる相手として思ってくれていたのだとしたら少しは嬉しい。
今、孝俊には自分をさらけ出せる人がいるのだろうかと頭によぎった。
「うん、いないけど?」
「やっぱりそうだよね。よかった。」
「なに?俺に彼女がいないと嬉しいの?」
賢介がニヤニヤ顔で聞いてくる。
「違う、そうじゃなくて。最近友達になった人がいて、その人とは車好きの趣味も合ってドライブとか楽しんでたんだけど、婚約者がいること黙ってたのよ。私、婚約者がいる人と2人で出かけたりしたりしないのに、気付かないうちに相手の人を傷つけていたかもしれないって落ち込んじゃって。」
「なに、その友達って男なの?」
「そう、ある意味上司でもあるんだけど、友達になりたいって言って、ドライブに行ったり食事したりしてたんだ。」
「それって、友達なの?完全にデートじゃない?」
「違う!ただの友達。その人プレイボーイな人だから。私とはそういう関係にはならないの。気さくに話せる相手ってだけ。」
「プレイボーイねぇ、確かにあかりは気軽に付き合えるタイプじゃないもんな。」
「そうよ。まぁ、その人も最初はそういう関係を狙ってたとは言ってたけど、私じゃ無理ってわかったみたい。」
「狙ってたて。まだ狙われてるんじゃないの?」
「違うと思うよ?全然そんな素振り見せないし。その人仕事では隙を見せない感じだし、女性にもスマートなエスコートが出来る人だけど、私のことはからかって大笑いしてるから、そういう対象じゃないんだと思う。」
そういう対象じゃないという自分の言葉があかりの胸に刺さる。
そんな痛みは気付かないふりだ。
不満気に孝俊のことを語るあかりを賢介は変わらない穏やかな微笑みで見ている。
「あかりはその人のことが気になってるんだね。」
「なっ、違うわよ。だから婚約者がいるって言ってるじゃない。」
「ま、相手がいる人を好きにはならないか。」
「そうよ、私のポリシーに反する!」
「出た!あかりのポリシー。」
おかしそうに含み笑いをする賢介にキッと鋭い視線を向ける。
「なによ、どうせ私は融通の効かない頑固者よ。」
「そこまで言ってないじゃん。あかりはそのままでいいと思うよ。清く正しく正直に生きるあかりを見てるとパワーをもらえるし、自分も正しく生きなきゃって気にさせられる。」
「そうかな…?」
「たぶんその友達もあかりのそのパワーが欲しかったんじゃないかな。」
「…そうかもしれないね。」
肩書とお金にしか人が寄ってこないと嘆いていた孝俊を思い出す。
あかりと話していると素が出てしまうと言っていた。
婚約者のことを黙っていたことはちょっと許せないけど、気の休まる相手として思ってくれていたのだとしたら少しは嬉しい。
今、孝俊には自分をさらけ出せる人がいるのだろうかと頭によぎった。