君にまっすぐ
「やっぱりあかりといると落ち着くな。」

それなりにお酒も進んだところで笑いながら賢介が話しだす。

「向こうに行っていた2年間、それなりにいい感じになった子もいたんだけど、あかりほどしっくりこなくて結局彼女ができないまま過ごしちゃったよ。」

「うん、私も賢介といると落ち着くなって思ってた。私は就職先が天国のような場所だったから、車を見つめていたら出会いもないまま2年間があっという間に過ぎちゃった感じかな。」

「そっか、俺たちやっぱり波長が合うのかな。」

「そうかもね。」

「きっとこういう関係で結婚すると長続きするんだろうな。」

「え、結婚?」

「いや、プロポーズとかじゃなくってさ。やっぱり穏やかで落ち着ける家庭を築きたいじゃん?」

「うん…、そうだね。私もそう思ってる。」

「そう考えると俺達は理想の結婚相手かもしれない。」

あかりはニヤッと口角を上げて笑顔になる賢介を見る。

「今はお互いフリーだろ。とりあえずよりを戻すとかじゃなくてたまに食事とか一緒にしようぜ。今日は再開したばかりだから結論を出すのは早過ぎるけど、今後一緒に過ごす中でなにか見えてくるものがあるかもしれないだろ?」

「見えてくるもの…。」

「お互いのことをどう思っているのか、結婚できる相手なのかということとかさ。俺は子どもも早く欲しいし、結婚願望も強いから今後は結婚したいと思える相手とじゃないと付き合えないなと思ってるんだ。」

「それは、私もそうかも。結婚したいと思える相手じゃないと付き合えないかな。」

「だろ?あかりもそうだと思った。だからまた飯食いながら話しようぜ。」

「うん。わかった。」

賢介と目を合わせ頷く。

「よし、じゃあ明日はお互いに休みだし、もうちょっと飲もうぜ。帰りはちゃんと送っていくから。」

「じゃあ、飲みすぎないでよ?今までそう言いながら賢介の介抱をすることになったのが何回あったことか。」

「ははは、ごめん、ごめん。今日は絶対大丈夫だから。じゃあ、あと2杯にしよう。」

「1杯とは言えないんだね。」

「言えないね〜。」

プッと同時に笑い出す。
こういう居心地の良さをあかりは賢介に感じ、おそらく賢介もあかりに感じている。
賢介の言うようにちょっと真面目にこれからのことを考えてみようとあかりは思った。

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