君にまっすぐ
「副リーダーだった松木、後輩の相川と結婚が決まったらしい。」

「あー、それ相川ちゃんから私にも連絡来たよ。」

こうして賢介と会うのももう4回目だ。
普段部屋で一人きりで食べるご飯と違って、人と食べるご飯は美味しい。
そういえば、孝俊と食べたご飯も普通の定食とかが多かったけど美味しかったな、とふとした時に孝俊のことを思い出してしまう。
孝俊との距離は賢介と会うようになったこの1ヶ月も変わらないままだった。
孝俊はもうワンコイン定食なんて食べることはないだろうな、と考えると当時を思い出して笑いがこみ上げるが賢介にはばれないように何とか抑える。

「松木のやつさ、相川に告白するときめちゃくちゃシュミレーションしていて笑ったよな。」

「確か相川ちゃんの反応に合わせて何パターンも考えてたよね。私もこんな告白されたらどう思うかなんて聞かれたもんなー。」

「で、結局相川も松木のことが好きだったから、松木が告白するらしいのを察知して相川から言っちまったんだよな。あのときの松木は見ものだったな。」

「そうだね。本当にサークルもみんな面白かったよね。なつかしいなぁ。今でも連絡取ってるの数人しかいないからなぁ。」

「松木の結婚式でみんな集まるんじゃね?ゴールデンウィークに挙式するって言ってたし。」

「そっか、楽しみだね。」

その日も賢介と大学時代の話やサークルの仲間たちの話で盛り上がった。



店を出てまだ時間も早いしもう一軒行くかと話しながら歩いていると、B.C.square TOKYOの前を通りかかった。
賢介がビルを仰ぎ見る。

「いつ見てもこのビルすごいよな。でかいし、外観も近代的だし。あかりもここで働いてるんだよなー。」

「働いてるっていっても地下の住人だけどね。」

「駐車場の管理だって立派な仕事だろー?」

「うん、もちろん、誇りを持って働いてるよ。客層を考えてマナーの勉強とかもしてるしね。」

「うん、そういう何にでも自分らしく努力するところがあかりらしいよな。尊敬する。」

賢介に褒められ、少し照れくさい。

「そんな褒めても何もでないよ?でも、ありがとう。こうやって認めてもらえると嬉しいね。」

先ほど飲んだお酒の影響もあってかほんのり赤い頬に照れた笑顔をみせるあかりは賢介が思わず見惚れてしまうほどだ。
賢介もあかりの笑顔を見て少し頬を赤くした。
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