次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
隣の駿介を見上げてたずねてみる。

「ああ、最近確かに多いな。俺の秘書になってからは特によく見る印象だ」

「まぁ!じゃあ、駿介が原因なのね。やっぱり我儘言って、困らせてるんでしょう。まったく、我が家の男性陣には困ったものね」

どうやらスイッチが入ってしまったらしい。ぷりぷり怒り出した耀子母さんを宥められる人に救いを求めるべく、私と駿介は隅のソファに座って状況を眺めているお祖母様に視線を送った。

「まぁまぁ。そんなずっと前から分かってる事に腹を立てても、時間の無駄だわ、耀子さん。それより、急ぎましょう。年寄りは気が短いのよ」

耀子母さんを諭しつつ、お茶目に笑うお祖母様が名倉さんに向き直った。

「ごめんなさいね。みんな、文香が可愛くて仕方ないの。さ、貴女のお薦めを見せてくださる?」

「かしこまりました」と一礼した名倉さんがラックにかけて持って来たのは、数着のパーティードレス。色やデザインを考えて、私の為だろう。でも、今日はドレスは必要ない。

「耀子母さん?今日は秘書として同行するだけで、駿介にエスコートしてもらわないし、ドレスは必要ないのよ?」
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