次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「文香じゃないっていうなら、誰なんだよ」

不機嫌に眉間に皺を寄せて、睨みつけるような駿介に必死に言い返す。

「だ、誰って、そんなの夏希さんに決まってるでしょ!プロポーズだってしたくせに、こんな、誤解させるような事言ったり、したりしちゃダメなんだから。私だから、大丈夫だけど‥‥‥」

言いながら情けなくなってくる。なんで、私に夏希さんの名前言わせるんだろう。なんで、「私だから、大丈夫」なんて言っちゃったんだろう。なんで、軽く「好き」なんて言ってしまっていたんだろう。

過去の自分の言動にこんな場面で首を締められるなんて、思いもしなかった。心を隠したまま「好き」なんて言ってたからバチが当たっちゃったのかな。

「お前、何言ってるんだ?」

こぼれ落ちそうな涙を必死に堪えている私を、駿介は心底不思議そうに見ている。

「何って、だって、あの、駿介は夏希さんと付き合ってて‥‥‥昨日も、大事なお願いって‥‥プロポーズしたんだよねぇ?」

私の言葉を聞くたびに駿介の眉間の皺は深くなって、最後に大きな大きなため息をつかれた。
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