次期社長はウブな秘書を独占したくてたまらない
「‥‥‥内緒にするのは泊まった事だけか?」

「ううん、昨夜の事も。全部」

だって、何も状況は変わってない。夏希さんの事は私の誤解だったけど、駿介が次期当主な事も、私がその隣に立ち続けるのが相応しくない事も変わらない。

「昨夜、言ったよな?お前はオレに守られてろって」

「うん、聞いた。実際、守ってもらってるよ?昨夜だって、敏彦さんから助けてくれたもの」

「ーーそれ、意味違うだろ」

「違わないよ。現にいま、私は幸せだし」

髪を拭いてくれる駿介に身を任せて呟けば、じわじわと実感が湧いてきた。

そう、私は幸せだ。叶えられない、伝えられない、それどころか自分ですら認められなかった恋心が今、こうやって実を結んでいるんだから。たとえ、それがこの瞬間だけだとしても、幸せだと思える。この記憶を胸に生きていける。

「ーーお前、やっぱり‥‥‥」

頭上揶揄う聞こえた声はルームサービスを届けるチャイムの音に遮られた。

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