冷淡なる薔薇の王子と甘美な誘惑
「さっきから何だ。人の部屋の前でうるさい」
すぐそばの扉から顔を覗かせたのはグレイス。
碧い瞳が、ディオンの掌を頭に載せたフィリーナを見るなり、疎ましそうに瞼を細めた。
「戯れるなら向こうでやれ」
「グレイス」
扉を閉めようとしたグレイスをディオンが呼び止めた。
「話がある」
フィリーナの頭から手を離したディオンは、グレイスに真っ直ぐ向き直る。
「なんだというんだ。こんな夜更けに話すことなんてない」
「いや、早々に話したいことがある」
ディオンの真剣な声音を察したのか、グレイスは視線をフィリーナの方へと移した。
当然、フィリーナが立ち会えるような話であるはずがない。
グレイスの視線を辿るディオンは、その場から離れるべきであるフィリーナと目線を合わせた。
すぐそばの扉から顔を覗かせたのはグレイス。
碧い瞳が、ディオンの掌を頭に載せたフィリーナを見るなり、疎ましそうに瞼を細めた。
「戯れるなら向こうでやれ」
「グレイス」
扉を閉めようとしたグレイスをディオンが呼び止めた。
「話がある」
フィリーナの頭から手を離したディオンは、グレイスに真っ直ぐ向き直る。
「なんだというんだ。こんな夜更けに話すことなんてない」
「いや、早々に話したいことがある」
ディオンの真剣な声音を察したのか、グレイスは視線をフィリーナの方へと移した。
当然、フィリーナが立ち会えるような話であるはずがない。
グレイスの視線を辿るディオンは、その場から離れるべきであるフィリーナと目線を合わせた。