現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
なんでもない、と答えるのは違うと思う。ちゃんと聞かなきゃ、ってずっと決めていたんだから。

だけど、なんて切り出したらいいのかわからなくて、思わず下を向く。彼の視線から逃れるように。


すると、彼は。


「なんでも聞くよ」


私の頭をやさしく撫でながら、ふっとほほえんでそう言ってくれた。


うれしい。やっぱり彼は聞き上手だ。なによりやさしい。


でも、だからこそ、これから真実を知るのが……怖い。


だけど、聞きださなきゃ。私はこれからも――三ヶ月が過ぎても――彼とずっといっしょにいたいと願うから……。



私は、覚悟を決めた。


「聞きたいことが、あるんです」

「うん」

彼は、手に持っていたマグカップを、私のマグカップのすぐ隣に置く。ふたつのマグカップから白い湯気が揺れている。


「……すごく、嫌な質問をするかもしれません。いいですか?」

「嫌な質問はされたくないけど」

「え」

「ウソだよ。沙代がそう言うってことは、きっと俺たちにとってすごく大事な話……違う?」

「違くは、ないです」

「じゃあ、聞くよ」

彼はどこまでもやさしくて、それでいて真剣な瞳で私を見つめてくれる。


この顔が好きだ。
くしゃっとした笑顔も好きだけど、穏やかでそれでいてたくましさを感じるこの表情も好き。
ていうか、もう、彼の全部が好きなんだと思う。
彼を、失いたくないと思う。


今さら、質問をやめようかなとか思う。だけどもう、戻れない。
なにより彼が、話を聞くと言ってくれている。


「……聞きたいことは、ふたつ、ありまして。
まずひとつは……その、以前付き合っていた彼女さんが、じ……」

自殺を図ったというのは本当ですか。
大きな覚悟をもって質問するのを決意したはずなのに、いざとなると言葉が出てこなくて、自分を恨む。


だけど、私の質問を察した彼が、


「……自殺を図った、っていう話?」

と、言葉を続けてくれる。


志木さんがそう言葉を紡いだことで、その時点で、きっとそれは事実なのだと感じた。

だけど、彼の表情は、思ったよりは穏やかなもので、少し安心もした。
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