現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。

そうか、私、そう思われていたんだ……。

でも、そう思われていても仕方がない。
実際、係長になってからのこの一週間、役席らしく注意なんて一回もできたことがない。牧原さんたちに教わることも多かったし。

それでも、自分なりにがんばってはいたけれど。
もう、自分なり、じゃダメなんだ。
役席らしく、しなきゃ。

でも、後輩の子たちにあんなふうに言われてしまう私なんかが、役席らしくなんてできるの?


……やっぱり、私には役職なんて務まらない。

私は、その場に立ち尽くしたまま、制服のスカートの裾をギュッと握り締めた。




営業室に戻ると、いつの間にか課長が戻っていた。

課長はパソコンから顔を上げて、私に視線を向ける。


「案件の登録どうなった? 俺には、あのふたりが退勤したように見えるんだけど」

課長はそう言いながら、ふたりのデスクにチラ、と目を向けて、そしてすぐに私に視線を戻した。
ふたりのデスクのパソコンは閉じられているし、書類以外のものはすべて片づけられているから、ふたりが退勤したことは一目瞭然だった。


「えと、ハイ、帰りました……」

「なんで」

「その……」

友だちとの約束、という理由はごまかしてあげよう、とさっき思ったけれど、課長に鋭い視線で見つめられると、とっさのウソが出てこない。もともとウソつくのニガテだし、ただでさえ動揺している最中だし。


すると課長は、私から目を逸らし、視線をパソコンに戻すと。


「係長さ、もっとしっかりしてくれないかな? そんなだからあのふたりに舐められるんだよ」


その言葉が、私の胸にグサリと突き刺さる。
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