現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
わかってる。
もっとしっかりしなきゃ、って今さっき思ったばかりだもの。

でも、どうしたらいいかわからなくて。
相談できる人もいないし。

そう思ったら、ポロ、と涙が出てきてしまった。


「お、おい」

課長が私を見て、目をわずかに見開いてみせる。大きく表情を崩したわけじゃないけれど、いつもクールな課長のこんな顔、初めて見た。

って、そんなことはどうでもよくて。私ったら、なに泣いてるの。しかも上司の前で。いい年して、恥ずかしい。


「す、すみません」

「いや、なんていうか……。俺が怒ってるのはあのふたりにであって、係長を責めてるわけじゃないんだけど」

「は、はい。あの、案件の登録なら私がすぐ、しますから!」

早く仕事を終わらせなきゃ、という気持ちももちろんあったけれど、これ以上泣き顔を見せたくなくて、私はくるりと課長に背中を向けて、ふたりのデスクから書類を手に取った。
やっぱりすごい量。
でも、私がこれを登録しないと、課長も稟議書を書けないし、つまりは私がこの仕事を早く終わらせないと、課長もいつまで経っても帰れないのだ。

急いで書類を確認し、確認のできたものからパソコンで打ち込んで登録をしていく。
だけど、やればやるほど、この量がいつになったら捌ききれるのかわからなくて不安になっていく。


すると。

「半分貸して」

と、残りの書類の半分、いや半分以上を課長が手に取る。
私が「え?」と彼を見上げると。


「半分は俺がやるから」

そう言われ、一瞬だけつい安心してしまったけれど、私はすぐに首を横に振る。

「い、いえ。課長に手伝ってもらうなんて、そんな……」

「手分けしなきゃいつまで経っても終わらないだろ」

「でも、課長は稟議書も書かないとだし……」

「いいから」

さっき、牧原さんたちに仕事を頼んでいた時と同じ、強引なわけじゃないのに有無を言わさない圧力。うん、確かにこの人の前ではこれ以上は首を横に振れない。

私は「すみません……」と謝りながら、書類の半分(以上)を課長に手渡した。
< 16 / 142 >

この作品をシェア

pagetop