現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
日中に書庫室に入ると誰かと鉢合わせることも多いけれど、今は朝のため、そこにいたのは課長だけだった。

一番奥の本棚からファイルを探している様子の彼に近づき、「志木さん」と名前を呼ぶ。

振り返った彼は私を見て、「ん? なに?」と答えた。
怒ってる様子はなさそうだけれど……。


「あ、あの……」

なんて言ったらいいのかがわからず、私は、


「すみませんでしたあ!」

と、ただ頭を下げることしかできなかった。


チャンスをもらったのに、なにもできなかった。
それどころか、チャンスを無駄にしてしまったことで、呆れられてしまった。
謝ることしか、できない。


すると、彼は。



「……は?」

きょとんとした顔で、私を見つめるのみだった。


「なにがすみません?」

「え、その……」

あれ、おかしいな。違ったかな?


「わ、私が、ハッキリと牧原さんに注意できなかったから……。志木さ……じゃない、課長が、その機会をくれたのに」

ここは職場だから、志木さん、ではなく課長、と言い直した上で、私は自分が思っていることを彼に伝えた。

すると、彼は。


「あー、さっきのか。
あれは、係長に機会を与えたというより、牧原さんに本当のことを言うチャンスを与えたっていう感じだったんだけどな。ほら、俺はあの子がウソついて退勤したの知ってるわけだから、今からでも正直に話してたほしいなとか思ったんだよね」

「え……」

「ちなみにさっき、ちょうど出勤してきた香澤にも同じように話しかけたら、あいつも牧原さんも同じ反応だった。
でもさすがに営業室で叱るのは良くないなと思って、後でどこかでそれぞれと二人きりになって、俺から注意しようと思ったんだけど、係長がそんなふうに気にしてるなら、係長から注意してみるか」

「え?」
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