現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
ーー……
「いいから行くぞ」
あれ?おかしいな。
家に行くのはお断りしようって思ったはずなのに、私結局、志木さんに腕を引っ張られながら、改札に向かおうとしている。
「ちょ、ちょっと待って志木さん。私の話を聞いてくださいっ」
私の一歩先をズンズンと歩いていく彼の後ろ姿に、私はそう声をかけるけれど。
「聞いた。恋人同士だからって家には来たくないんだろ?」
そうなのだ。私は予定通り、彼とこの駅で待ち合わせした際にきちんと自分の意見を伝えていた。
だけど彼は、私の言葉はお構いなしに、こうして私の腕をつかんで歩きだした。
ほ、ほんとに強引だ! 普段クールなクセに!
「あのさ」
定期券で改札を抜けながら、彼は私に言う。
私も、ここまで来たらもうなにを言っても無駄かも……と思い、大人しく定期を改札にかざした。
そして、彼は。
「大丈夫。ほんとに、セックスはガマンするから」
と、チラッと私に顔だけ振り返ってそう発した。
「だ、だから! 私が言いたいのはそういうことではないんです! 決して!」
「あ、ちょうど電車来る」
「聞いて! 私の話を!」
思わず敬語抜きでツッコんでしまった。そのくらい私は動揺していた。
その後、いっしょに電車に乗り、つり革に掴まる。
私はなるべく普段通りの態度を心がける。
もう抵抗するのはやめた。まあ、家に帰ってもインフルエンザにかかる危険性があるし、エッチ……もしないって言ってくれたし。
それに、一応は恋人同士だし。悪いこと、いけないことをするわけじゃないし。
……と、自分に必死に言い聞かせているだけのような気がしなくもなかったけれど。