現状報告!オタク女子ですが、エリート上司に愛されてます。
「驚かせてごめん。バスタオル取りにいくだけだから、沙代には見られないと思ってあんな恰好してた。ちょっと不注意だったよな」

申しわけなさそうにそう謝られると、私はフルフルと首を横に振るしかできない。

「べつに、志木さんは悪くないです……。私があんな場所で立ち尽くしていたから……」

私は彼から視線を逸らして、俯きながらそう答えた。

実際、そうだし。志木さんはなにも悪いことはしていない。私が勝手に動揺して、大騒ぎして。
申しわけないのは私の方だ。


すると志木さんが、私の隣に座ってきた。

距離が近い。
さっきのさっきだから、まだどうしても意識してドキドキしてしまう。


隣に座った志木さんは、私の髪をサラ、と撫でる。

くすぐったい。
それ以上に、恥ずかしい。


「よしよし。アイスでも用意しとくから、風呂行ってきな」

まるで小さな子どもをあやすようにそう言うと、志木さんは立ち上がり、キッチンの方へと向かっていった。


……もう。子ども扱い?
でも、少し気持ちが落ち着いてきたかも。

私は彼に言われた通り、お風呂をお借りした。


お風呂から上がると、脱衣所には彼のTシャツと短パンが用意されていた。

こ、これを着ろってことだよね……?
なんだかドキドキする。

とりあえず着用してみると、当然だけどTシャツはダボダボで、短パンはほとんど見えない状態だ。
この格好見られるの恥ずかしいなぁ、と思いながらリビングへ戻ると。


「お、上がった? イチゴとオレンジ、どっちがいい?」

志木さんが、ソファに座ってテレビを観ながらそう尋ねてくれた。
テーブルの上には、アイスのカップがふたつ、置かれている。
< 55 / 142 >

この作品をシェア

pagetop