パーフェクト・インパーフェクト
「……どうも。ギターの瀬名です」
ああ、この人がギターの!?
ライブ映像とぜんぜん違うから本当にわからなかった。
楽器を弾いているときは、ものすっごくかっこよかったのに。
いや、顔面の造形は、映像で見たそれと相違ないのだけど。
楽器を弾いていないときは、こんなにぽやぽやした感じなんて、想像すらしていなかったよ。
ふり幅がモノスゴイ。
「寒いのに依頼受けてくれてありがとう」
だけど悪い人じゃなさそうだ。
控えめに差し出された右手をそっと握った。
この人も、硬い、硬い、指先をしている。
バンドマンってみんなこう?
なんだか職人みたいな指なの。
はじめて知った。
「けっこう、変なやつばっかりで集まってるんだけど」
皆川さんが仕切り直すように言った。
ボーカルのアキさんが「おまえもな」とチャチャを入れる。
「音楽に関してはわりとまじめにやってると思うんで、きょうはぜひよろしく」
まじめじゃなかったら、高校生くらいの若いうちから親元を離れて、自分たちの音楽だけで生きていこうだなんて、絶対に思わないよ。
わたしも学生のころからこの仕事をしているからわかる。
ほんとに好きだから、自分のすべてを賭けて、いまここにいるんだよね。
わたしも。
この人たちも。
「最高のものが撮れるようにがんばります。よろしくお願いしますっ」
がばっと頭を下げた。
顔を上げた先で、4人のお兄さんたちがそれぞれ頷いた。
しぐさを見ても、表情を見ても、ぜんぜんタイプの違う4人。
それなのに同じものに惹かれて、こうして集まっているんだな。
グループっておもしろいな。
たくさんいるモデルのなかからわたしを選んでくれた、この人たちの期待に応えられるように、きょうも一生懸命やろう。
上月杏鈴に来てもらってよかった、
上月杏鈴が最高だ、って言ってもらえるように。
MVを見たこの人たちのファンにも、そう思ってもらえるように。
大丈夫。
きょうもわたしがいちばんかわいい。