パーフェクト・インパーフェクト
『真ん中』というタイトルのついたナンバーは、歌詞のどこを読んでも失恋ソングで、だけどメロディーラインが妙にポップでキュートだから、どういうテンションの表情を作ればいいのか、掴むのにかなり時間がかかった。
雑誌の撮影のときは、「いい感じで!」とかいう曖昧すぎる指示出しにも、完璧に対応できるのに。
数分の曲のなか、表情やしぐさのみでその世界観を表現するというのは想像以上にむずかしく、肉体的にも精神的にもヘトヘトだ。
チェックをしては、満足できず、幾度もリテイクをお願いした。
予定より相当押してしまっている。
さすがにいけちゃんがゲンナリしている。
たぶん、カメラマンさんも、衣装さんも、メイクさんも、みんながそろそろ飽き飽きしているはずだ。
全部、わたしのせいで、わたしのワガママだけど、それでもバンドマンたちはなにも口出ししないで、こんなに寒いのにずっと外にいて、ただじっとわたしのことを見ていた。
何テイクもの撮り直し、あの人たちはどう思っているんだろ。
早くしろやって思われていたりするのかな。
ぜんぜんダメじゃねーかって幻滅されているかも。
だけど、そういう目じゃないって、なぜかわかる。
彼ら4人でも、カメラマンでもなく、“わたし”が納得するものを撮れるまで、あの人たちはきっと、ずっと待ってくれるつもりなんだ。
年下の女の子のワガママを見守っているとか、そういうんじゃなくて。
わたしとあの人たちはいっしょなんだって思った。
自分自身を表現方法として生きているから、いっさいの妥協をしたくないっていうこの気持ち、きっと痛いくらいにわかってくれているんだろう。