パーフェクト・インパーフェクト
「ちっ、ちがうんですあの!」
どう言い訳しようかとほとんど無い脳ミソをフル回転させて最初に出た言葉は、小学生かよっていうくらい幼稚で情けない。
もっと気のきいたことは言えなかった?
「違わないよー!」
だけれども、そんななんの説得力もない一言は、スイートボイスによって簡単に否定されてしまったのだった。
両手をガシッと握られる。
瀬名さんとおそろいのカチューシャの耳が、目線より少しだけ高い位置でぴょこんと揺れた。
「上月杏鈴ちゃん、生で見ると本当にお顔が小さくておめめが大きくて腰が細くて足が長くて同じ人間だとは思えない! かわいい!」
「いや……え?」
「あの、わたし、MVで見てすぐにファンになっちゃったのです! なにせもう“ティーン”じゃないから雑誌は恥ずかしくて買えないんだけど、実はフォトストもフォローしててっ」
「ええっ」
「ぜったいSNSには載せないって約束するので、よかったらいっしょに写真撮ってもらえませんか……!」
目を輝かせる彼女の隣で、瀬名さんがあきれたように息を吐いた。
俊明さんが小さく笑う。
スキンケアなに使ってるのって聞きたいくらいもちもちの肌が至近距離にくっついてきたのは、それからたった10秒後くらいの出来事。