パーフェクト・インパーフェクト


「杏鈴ちゃん、写真撮ってくれてほんとうにありがとう! 宝物にしますっ」

「あ、いえ、こちらこそ!」

「これからも陰ながらずっと応援させてくださいね……!」

「そんな、わたしのほうがうーんと旦那さま方にお世話になっておりますゆえ!」

「えー、へへ、旦那さまだって、こうちゃん、恥ずかしいね」


本当に幸せそうな顔をして笑うんだ。

左手の薬指で光るシルバーがまぶしくて、目にしみる。


突然ものすごくみじめな気持ちになってしまった。

わたしはいったいなにをしているのだろう、と。


サイテーな不倫男を成敗するとか息巻いて、こんなところにまでノコノコついてきて。

これじゃわたしも、やっていることはしょせん同じ。


もしかしたら本当に、この人には大切な家庭があるのかもしれないのに。

こんなふうに、いつも、どこかで幸せに笑いあっているかもしれないのに。


違うんです、こらしめてやるつもりだったんです、

なんてなんの言い訳にもならないよ。


奥さん(仮)にとってわたしはただの不倫相手の女。


そこにどんな感情も、理由も、関係ない。

既婚男性にうまいことしてやられたバカな女だ。

< 113 / 386 >

この作品をシェア

pagetop