パーフェクト・インパーフェクト
俊明さんの言ったとおり、気が合うから、なのかはわからないけど。
瀬名さんの奥様――季沙さんが、とても居心地のいい人なことはたしかだった。
いつのまにか男ふたり・女ふたりでくっついて歩いている。
うしろからついてくるバンドマンの会話、たまに耳に届いてくるけど、夢の国にいるくせにお仕事っぽい内容だ。男の人はしょうがないのかもしれない。
「それにしてもほんとにびっくりしました! まさか瀬名さんが結婚されてたなんて……。前にお会いしたとき、たぶん指輪してなかったから」
率直な感想を述べると、季沙さんはちょっと眉毛を下げて笑った。
「そうだよねえ、ごめんね。プライベートのとき以外はお互いに外してるんだ」
「えっ、そうなんですか?」
「うん、ふたりとも仕事柄ね。こうちゃんはああいうことしてるわけだし、わたしも実は普段、ケーキ作ってて」
「ええっ!」
専業主婦をしながら趣味でやっている、という意味では、おそらくないと思う。
「パティシエさん……ですか?」
うなずいたのと当時にふわりと跳ねた毛先から、かすかに甘いにおいが漂ってきた気がした。
「そうは言ってもほんとに小さいお店なんだよ」