パーフェクト・インパーフェクト
やっぱり、そうなんだ。
やっぱり俊明さんも既婚者なんだ。
そうなんだ。
そうですよね。
わたしはあの夜、バッチリその証拠を見てしまったもの。
季沙さんがへらりと笑う。
思わず、身構える。
「あのね、アキくんも結婚してるよ」
「……へあ?」
いま、誰、って?
「アキくんのところはわたしたちより早かったよ! 21のときだったかな?」
「あの、すみません……ほ、ほかには……」
「ほか?」
季沙さんは笑顔のまま、不思議そうに目をぱちくりした。
「あ、うん、ヒロくんのところは彼女さんが学生だからまだだよー」
「もしかして“あおいさん”ですか?」
「えっ、蒼依ちゃんのこと知ってるの? めちゃくちゃキレイでいいコだよね、大好きなの!」
「わたしは会ったことはないんですけど! 話だけチラッと……」
酔っぱらったアキさんが口を滑らせただけだけど。
弟さん、あのとき本気で怒っていたし、知らないふりしといたほうがよかったかもしれない。
それにしても季沙さんもめちゃめちゃいろいろしゃべってくれるんだな。
いいのかな。
というか、わたしが聞きたいのはアキさんのことでも、弟さんのことでもなく。
あとひとり、いちばんよくわからない人、いるじゃないですか。