パーフェクト・インパーフェクト


「こちらこそありがとうございました。おしゃべりできてとっても楽しかったです。あの、ケーキ、ぜったい食べにいきます!」


笑った顔が本当に優しくてかわいいんだ。

こんな女性が生まれたときからお隣に住んでいたら、きっと好きになっちゃうのもしょうがない。


そして同じように、こんなにも自分だけに甘く接してくれる人がずっとお隣にいるとなれば、女の子は当たり前に好きになっちゃうだろうなって思った。


瀬名さんのことまだぜんぜんわからないけど、季沙さんが世界でいちばん大好きで大切なんだってことだけは、この数十分だけでよくわかったもの。

こんなにも目に見える愛情表現をする人だなんて想像もしていなかった。


人は見かけによらない。

これはけっこう、本当だと思う。


俊明さんがふたりにむけてお礼を言い、じゃあ行こうかと顔を覗きこんでくる。

その角度がなんだかどうにも絶妙で、逃げるみたいにうつむいてしまった。


そうだ、これからまた、ふたりきり。


見送ってくれるお似合いな夫婦に頭を下げ、手を振ったあとで、背の高い影の隣にならんだ。


ああそうだ、けっきょく聞きそびれちゃったな。

この人が結婚しているのか、していないのか。

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