パーフェクト・インパーフェクト


「――あうっ」


心ここにあらずのまま、ぼうっと薄暗いアトラクション内を歩いていると、段差もなにもないところでいきなりコテンとつまずいた。

かわいさのかけらもないまぬけな声と、ちょーださいへっぴり腰。サイアク。


ゆっくり隣を歩いていた長い脚が歩を止める。


「大丈夫?」


気遣わしい問いかけに、上げたくもない目をしょうがなく上げる。


思わず息を呑んだ。

だって、美しい形をした手が、目の前に差し出されていたから。


これを。

いったい、どうしろと?


「けっこう暗いもんな。つかまってていいよ」


つかまる……?


言われるがまま、おそるおそる手のひらを乗せてみる。

触れた瞬間、ひとまわりほど大きな温もりはすぐにきゅっと閉じられた。


あの、これはやはり、つかまる、とは言わない気がするんですけど。

こういうのって、そうだ、手をつなぐ、って言うんじゃないの?


「もしかして怖い?」

「なっ、なんでですかっ」

「手、すごい汗かいてる」


とぼけているのか。
それともわざとやっていらっしゃるのか。


「これがはじめてのデートのわたしがこういうのに慣れてると思いますかっ」

「ああ、そうか。そうだっけ」


ごめんごめん、
じゃないんですけど!


いつもみたいに軽くぽこぽこ笑うけど、こっちはぜんぜん、そんな余裕ないよ。


それでも俊明さんは手を離そうとしなかった。

そしてわたしも、なぜか振り払うことができなかった。

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