パーフェクト・インパーフェクト
通された席では、王冠の形に折られたナフキンがお出迎えしてくれた。
真っ白なショープレートの左右には、使う順番も使い方もわからないシルバーたちがお行儀よくならんでいる。
ああ、こんなことならもう少しマシな服を着てくるんだった。
靴下とスニーカーって。キャップって。プルオーバーって。
それでも目の前に座った彼は、そんな気持ちさえすっかりお見通しみたいに笑ってくれるの。
「普通のレストランだよ。普通にごはん食べよう」
彼にとってのふつうとはいったいなんなんだ?
前に聞いた“お城育ち”って、もしかして本当なの?
お料理が運ばれてくるたび、彼はなんのためらいも迷いもなくシルバーを選び、洗練された美しい所作で口へ運んだ。
リアたちといっしょに居酒屋でお酒を飲んだときも、たぶんこんなふうだった。
あの日はお箸しかなくて、手元にあるのはジョッキに入ったビールだったから、あまり際立っていなかっただけで。
育ちがいいのだろうな、とひと目見ただけですぐにわかるような食べ方をする。
もしかして実家はかなり裕福なおうちなのかな。
こういうフルコースとか、小さいころから当たり前に食べてきたのかも。
やっぱりこの人にとってはこれが『ふつうのごはん』?
無意識にずっと見つめていたから、ふと顔を上げた俊明さんとしっかりばっちり目が合った。
「なんか静かだね」
いきなりそんなことを言われて、ちぎって食べたパンを噛まずに飲みこんでしまった。