パーフェクト・インパーフェクト


「そんなことないですっ。いつも通りですっ」

「そう? 一日たくさんしゃべってくれてた気がするけど」

「う……楽しくてつい、我を忘れて……」

「うん、楽しかったならよかった」


空気を吐きだすみたいに軽くぽこぽこ笑う。いつものやつ。


「そちらはいかがでしたか」

「ん?」

「ちゃんと、楽しかったですか?」


たしかにずっと笑ってくれてはいたけど、それって彼の通常運転で、けっきょくは一日中わたしのやりたい放題だったように思う。


だからといってこんなことを聞くのは反則だったかな。

だって彼はきっと、楽しかったよと、お決まりの顔で微笑むはずだ。


「うん、すごく楽しかった。いままでで一番だった。ありがとう」


なんだか自分でもわからないような胸のいちばん奥のほうがぎゅーっとして、もはやお肉料理どころではなくなってしまった。

クリスマス限定の超絶かわいいデザートの写真を撮るのも、うっかり忘れてしまう始末。


ここでもまた当たり前のようにお会計を済ませてくれた彼に、そろそろ帰ろうかと優しく言われたとき、どうしてものすごく切ないみたいな気持ちになってしまったのだろう。

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