パーフェクト・インパーフェクト



撮影が終わり、いけちゃんの元へ戻ると、間髪入れずにド叱られた。

これだけやって褒められることはあっても、叱られることなんかひとつも思い浮かばないので、本当に面食らった。


「どれだけ押したと思ってるの?」


いつものカジュアルな感じとは違う、仕事スイッチの入った厳しい声色。


「これからまだ仕事が控えてる人もいるかもしれないとか、そういうことちゃんと考えて撮影に臨めてた?」

「でも……どうしても納得いかなくて」

「それは杏鈴の都合でしょ」

「そうだけど、わたしならもっといいものが撮れるって思ったんだもん!」


たしかに、数回、
もしかしたら、たった1テイクずつで終わることのできる撮影だったかもしれない。

ボツにしてもらったものも、べつに悪いってワケじゃなかった。


だけど、“悪くなかった”と、“よかった”は、ぜんぜん違う。

わたしだってプライド持って仕事しているんだ。
絶対に妥協したくないの。


「あれだけ何度もやれば、素人だっていくらでも最高に良いものが撮れるんじゃない?」


頭に、というより、顔に、いっきに血がのぼってくるのがわかった。


いつもは友達みたいに楽しいいけちゃんに、本気で叱られたことのいたたまれなさ。

それから、なにより、仕事をこんなに否定されたことへの悔しさ。
素人と同じだと言われる、ふがいなさ。


泣きそうだった。
これはもう泣くと思った。


だけど泣かない。


泣いたらほんとにプロ失格だ。

たぶん、ここで終わりだ。

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